負けられないレースをきっちり勝つすごさ ~スプリンターズS

今年のスプリンターズSは、ロードカナロアにとって、まさに負けられないレースでした。
前走で連勝は止まったものの、G1は香港スプリントや1600mの安田記念と、得意ではない舞台も含めて4連勝中。特に香港スプリントの2 1/2差での勝ちは、そのレベルの高さから驚異的とも言われます。

今回のメンバーを見ると、G1馬はマイルG1を2勝しているグランプリボスのみで、G1連対のあるサンカルロ、ドリームバレンチノ、パドトロワとは、すでに勝負付けが終わっている印象。
唯一の脅威は、前走のセントウルSでクビ差逃げ切りを許したハクサンムーンですが、そのときはロードカナロアが休み明けかつ斤量が2kg重いという状況で、すべての状況が好転する今回は、クビ差は逆転できて当たり前と思われて当然でしょう。

レースは、ダッシュを効かせて先頭に立ったハクサンムーンに、フォーエバーマーク、パドトロワ、サクラゴスペルがからんで4頭の先行争いとなり、600mが32.9のハイペースというハクサンムーンにとってはつらい展開。それをロードカナロアは中団外で悠々と追走し、直線に入ると外に出して前を追います。
坂ののぼりでハクサンムーンを射程圏にとらえると、一気に追い込んでゴール前で交わし、最後は離して1着でゴール。危なげない横綱相撲で、あっさりとスプリンターズSの連覇と、G1 5連勝を達成しました。
力差があるとはいえ、競馬は何があるかわかりません。勝って当然のレースを、あっさり勝つのは、すごいことだと思います。

しかしスプリンターズSの連覇といえば、G1昇格後はわずかにサクラバクシンオーが1993,1994年に成し遂げただけで、意外と壁が高いのは事実です。現にタイキシャトル、ビリーヴ、デュランダル、カレンチャンなどの名馬たちが、期待されて挑戦したものの、いずれも敗れ去っています。
またG1(G1級を含む)連勝は、シンザン、テイエムオペラオーの6連勝に続くものですが、海外を含んでいることを考えると、その価値の高さはこの2頭を上回るといっても過言ではないでしょう。

こう見てみると、さすが「世界のロードカナロア」と呼ばれるだけのことはありますが、今日のレースを見ていて、やや気になることがありました。それは最後の反応が少し鈍く感じられたことです。
ロードカナロアといえば、中団からすばらしい末脚で鮮やかに差しきるイメージですが、今日はややもたついた場面が見られました。上がりの33.8は、メンバー5位タイと、らしくないものですし、逆にハイペースを逃げて粘ったハクサンムーンの強さの方が、印象に残った人も多かったかもしれません。

ロードカナロアは年内での引退が決まっていて、あと走るとすれば、香港スプリントで連覇を狙うのが濃厚のようです。ぜひ香港でも連覇を達成して、強いロードカナロアのままで引退することを期待したいと思います。

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